物 語

初戀 第七十話

第七十話 男心と秋の空高校生活最後の貴重な夏休みは、骨髄液を抜いたり川に落ちて肋骨を折ったり友人が死に掛けたり、その友人が兄になったりと慌ただしく過ぎ去って行っ...
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初戀 第六十九話

第六十九話 未来永劫「……養子?」「きみたちはもう十八歳なので普通養子縁組になりますが」黒檀こくたんの病室で穏やかに微笑む冬慈とうじとは対照的に、黒檀も白檀びゃ...
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初戀 第六十八話

第六十八話 溺れる者は藁をも掴む「最初に気付いたのは織田先生だったんだが」生後半年で言葉を解していると考えられた兄弟は、正確な知能検査を受けられるようになるまで...
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初戀 第六十七話

第六十七話 青天の霹靂「……で?」「で、って……何?」「最後てどこまでなん? 条件は?」「なんで記憶喪失のフリなんかしてんの?」「……はぁ…条件、それかいな…」...
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初戀 第六十六話

第六十六話 人と屏風は直ぐには勃たず「…どんな顔してればいいんだろう」「普通でいいよ」「普通って言われても……」普通でいい、と言いながら硬い表情を見せる久御山く...
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初戀 第六十五話

第六十五話 雨夜の月ソファで胸の辺りを押さえながら、久御山くみやまは顔をしかめて笑う。笑うと折れた肋骨に響くので、また顔をしかめる。素人が30m下の川に飛び込ん...
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初戀 四方山話 其の参

四方山話 其の参 とある世界線の初日の出クリスマスも終わりひと息吐いたところで、年始の準備に余念のない姉から花を買って来いと申し付けられ、生け花用の花を適当に見...
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初戀 第六十四話

第六十四話 焼け野の雉子、夜の鶴 其の弐ほんまはひとつのはずやった。それがふたつに分かれたんは、神さまの気まぐれやったんかもしれへんし、理由があったんかもしれへ...
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初戀 第六十三話

第六十三話 焼け野の雉子、夜の鶴 其の壱── 焼野やけのの雉子きぎす、夜の鶴雉(雉子は雉の古名)は巣のある野を焼かれると、己の身の危険も顧みず我が子を助けるため...
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初戀 四方山話 其の弐

四方山話 其の弐 とある世界線のジングルベル今年も毎年恒例の「クリスマス久御山くみやま争奪戦」が繰り広げられていた。どうでもいいけど、久御山が受験生だってことみ...