code.10 生かされる者
「ルシに頼めばいいんじゃない?」
診療所の待合室で、ミシャは平然と答えた。
「頼むって……何をどう頼むっていうんだ……」
相談した相手がまずかった、とルフェルは後悔したがミシャはさも当たり前のように言葉を続けた。
「なんでも叶える稀覯原種があるんでしょう?」
「何でも叶えるとは聞いてるけど……」
「ルシが敵に襲われないように、とか……ルシが敵から見えなくなるように、とか」
「……そういうのも叶えてくれるのかな」
「言ってみなけりゃわかんないわよ」
「確かにそうだけど……縛りとかないのかな」
「ああ、占い師や預言者にありがちな “自分のことは見えない” 的な?」
「うん、それが可能なら冥界の惨状は避けられたと思うんだ」
「そうねえ……じゃあルフェルが戦わなくて済むように、とか」
「他者のことならなんとかなりそうな気もするね」
「どんな攻撃にも耐えられるシェルター作れば?」
「……それも相談してみるよ」
「ちなみに、パパと何があったの?」
「……別に」
「部屋が壊れるんじゃないかってエアリエルとフィールが心配してたけど」
「ちょっとした親子喧嘩だよ」
「ふうん……で、パパはいまどこにいるの?」
「…………終の牢獄」
「は!?」
───
神々の塔の最深部にある終の牢獄は、大罪を犯し死罪相当ではあるものの最終的な裁きを言い渡されていない者がつながれる “死への入口” であり、神々による結界が張られているため一切の能力が封じられる場所だった。窃盗や傷害程度で使用されることはなく、何もしていないル・ルシュが監禁される理由は皆無だ。
「大丈夫?」
牢の中でうなだれるル・ルシュは、声に驚き顔をあげた。ぼんやりと床を照らす小さな灯りはゆっくりと近付き、そっとル・ルシュの顔を照らす。
「……ミシャ」
受付で渡された心許ない蝋燭の灯りを頼りに、ミシャは真っ暗な終の牢獄で慎重に足を運びル・ルシュの元へとたどり着いた。エデンにおいて一番死に近い場所なだけあって、息が詰まる感覚にミシャは溜息を吐く。
「ねえ、パパでも抜け出せないの?」
「さすがにここは無理だね」
「どうしてこんなことになっちゃったの?」
「ミシャ……時間がない、ルフェルに言ってここから出してもらえないかな」
「……それだけ緊迫してるのにここへ監禁されたなら、わたしが言っても無駄よ」
「ルフェルの命に関わることなんだ!」
「ますます言っても無駄よ。パパが自由になったらルフェルの代わりにパパの命に関わるってことでしょう?」
「ルフェルが大切じゃないのか!?」
「大切よ。でも、ルフェルがパパを守りたいならわたしはその気持ちを尊重する」
「どうして!? なぜだ! 僕なんかより自分たちの心配をするべきだろう!?」
「……お話にならないわ」
「ミシャ!!」
「その “自分たち” の中に、どうしてパパが入ってないって思うの?」
「……僕は三日前に出逢ったばかりの……ほとんど素性の知れない存在だよ……?」
「そうね、そして二百五十年前からルフェルのパパだったのよね?」
「それは……そうだけど……真実が現実に必ずしもリンクするわけじゃないよ。血を分けたってだけで、僕は父親としての役割を何ひとつ果たしてないんだ」
「これから果たせばいいじゃない。それすら放棄するなら知ったこっちゃないわ」
「ミシャ……僕はルフェルを守りたい」
「わたしもよ。でもね、そのためにルフェルが失っていいものは何ひとつないの」
ミシャはゆっくりと振り返り、蝋燭を気に掛けながら狭い通路を戻ろうと足を踏み出した。
「ミシャ!! 一緒に戦うから……どこにも行かないから出してくれってルフェルに伝えて!」
───
「……大丈夫なのか」
「大事ない……ように見えますやろか」
「腕一本動かせんのならおとなしく寝てればよかろう」
「僕にも意地があるさかい」
「つまらん意地を張って死なれても困るんだが」
「縁起でもないこと言わんとって……」
ル・ルシュの地上の棲み家では、椅子に座ったまま身動きひとつ取れないユリエルと、そのユリエルに寄り添うルシ、その様子に困惑するアヴリル、そしてそれを眺めるルフェルが微妙な空気の中にいた。
「ルゥ……ごめんなさい。ルシのせいでユリがうごけなくなってしまって……」
「構わんよ。ルシに怪我がなくて何よりだ」
「いや、少ぅし構いなはれや」
「ちょっとルゥにお話があるの」
ルフェルはルシを抱き上げると、そのまま玄関から外へ出て行った。
焼け焦げた木やめくれた芝で荒れ果ててしまった庭を歩きながら、ルフェルはそれまでの硬い表情を崩し、優しい声で訊ねた。
「なんだい? 話って」
「あのね……ルシ、ひとりでいたほうがいいと思うの」
「……どうして?」
「ルルとユリに……けがをさせてしまったから……」
「うん、でもルシはまだ小さいからひとりにするわけにはいかないんだよ」
「そばにいたら……きっとまた、だれかにけがをさせちゃう……」
「大丈夫だよ、僕たち怪我には慣れてるから」
「いやよ……ルゥにもリルにもけがなんてさせたくないもの」
「じゃあ、怪我しないように気を付けるよ」
「だめよ……ユリだってあんなにつよいのに……けがしたんだから……」
「大丈夫、僕はユリエルの百倍強いし、それに」
「それに?」
「僕のお父さんは、僕の百倍強いから」
ルフェルは自信満々の笑顔を見せ、ルシを笑わせた。大丈夫だよ、ルシ……きみは何も気にしなくていい。アリキーノを起こさないようにすればいいだけの話だ。
まだ方法は見つかってないけど。
───
ルシを抱きかかえたルフェルの目の前で空気がゆらりと揺らぎ、そこへミシャが現れた。
「ミシャ!? どうしたんだ、勝手に地上に降りちゃ」
「ちゃんと許可は取ったわよ」
「誰の!?」
「管轄がわからなかったから……フィオナさまにお願いしたの。それよりルフェル、パパが出たいって」
「……駄目だよ」
「パパから伝言。 “一緒に戦う、どこにも行かない”」
「本当なのか」
「嘘吐いてどうすんのよ……とにかくルフェルが行かないと釈放できないのよ」
「……わかった、ちょっとルシを頼む」
ルフェルはミシャにルシを預けると、周りの空気を大きく揺らしながら消えた。
「ふふ、大慌てって感じねえ」
「あわててるの?」
「いま、風景が歪むくらい空気を揺らして消えたでしょ?」
「うん」
「平常心なら、そんなに揺れないものなのよ」
「ルゥでもあわてることあるのね……」
ミシャはルシを抱いたまま、荒れ果てた庭を歩き回った。モミの木にオリーブに樫の木に……芝も丁寧に刈られてたみたいなのに、大変なことになっちゃったわね。
「ルシのせいなの……」
「あら、こんなにすごい力を持ってるの?」
「自分でもわからないうちに……あばれちゃうみたいで……」
「じゃあルシのせいじゃないわよ」
「でも……ルシがいなかったら、こんなことには」
「お庭なんてまた手入れすればいいのよ。庭いじりの楽しみが増えてよかったわ」
「……ミシャ、すき」
「ふふ、わたしもルシが好きよ」
ミシャはルシを腕から降ろすと、ふたりでめくれ上がった芝を元に戻し始めた。焼け焦げている以上見栄えを整えても意味はないが、戻すことができると知ったルシは安心した顔で笑う。
───
「司法長官、やはり横になって休まれたほうが」
「そやなあ……でもいま動くのしんどいねん……」
「身体に穴が開いてるんですよ……」
「みたいやなあ……そやけど、なんしか殺めるにはまだ小さ過ぎひんか」
部屋の中では、少しでも痛みの少なくなる体勢はないものか、と探りながらユリエルが身体を動かそうと顔をしかめていた。
「……まさか、それでルシのレーザーを……エルフを殺させないために身体で遮ったんですか」
「なんやそのうち、嫌でも戦わなあかんようなるんやろ?」
「そうですね、稀覯原種を持っている限りは」
「永遠に続くんならなおさらや……こないに早う物の怪になることないわ…」
痛みを逃がすようにゆっくりと息を吐きながらユリエルが再び体勢を変えようとした時、アヴリルはユリエルの肩にそっと手を乗せ視線を天井へ向けた。
「司法長官はここにいてください」
「……お早いお越しで、難儀なこっちゃな」
音を立てないよう慎重に、アヴリルは玄関の扉の横で息を整えた。屋根に一体……しかし圧倒的な邪悪さを携えていることから、低級の魔族ではないことがわかる。一瞬の迷いが命取りだ……こちらの攻撃に気付かれた時にはすでに仕留めておかないと、反撃を食らっている猶予は……
「ちょっと! 危ないじゃない! この子に当たったらどうすんのよ!」
聞き覚えのある声に聞いたことのある台詞……整えたはずの息は上がり、慎重とは程遠い慌てっぷりで、アヴリルは玄関の扉を開け、目の前の光景に驚愕した。
「なぜミシャさんがここに!?」
「成り行きで!」
「どんな成り行きですか! しゃがんでください!」
ルシを抱えてしゃがみ込んだミシャの頭上を、風切り音を立てながら通り過ぎて行く茨の鞭……
「あのひと、ほら、鏡の!」
「はい、ミュルシーナですね! 動かないでください!」
「まだ怒ってんのかしら!」
アヴリルは「怒ってるでしょうね」と答えながら屋根の上に飛び移り、ひとまずミュルシーナの気を逸らし右手で空を切った。アヴリルの手に納まった死霊の剣は剣身を深紅に染めながら、黒い霧を纏い紅く立ち昇る焔火と刈り取った魂の影を揺らめかせた。
「おまえ……わたくしの鏡に映らなかった挙句、再び邪魔をするつもりか!」
「おとなしくフィンドへ帰ってください」
「稀覯原種のことなら諦めろ。わたくしを退けたとしても、敵は次から次へと湧いて来る」
そう言うとミュルシーナは、ドレスに隠していた小さな手鏡をミシャとルシに向けた。
「…っ…ミシャさん!」
ミシャとルシは、ミュルシーナの手鏡に吸い込まれ、ミュルシーナもそのまま一筋の煙を残し消えた。そこへ、ルフェルとル・ルシュが現れ、異様な残滓にル・ルシュは眉をしかめた。
「何があったんだ」
「すみません、ミシャさんとルシが魔界へ連れ去られました。いますぐフィンドへ向かわせてください」
「フィンドって……間違いないのかい?」
「間違いありません。フィンドの女王に連れて行かれたので。とにかく早く」
「落ち着けアヴリル……何の情報も準備もなく行ける場所では」
「落ち着いてなどいられるわけがない!! 早く!!」
「……一度エデンに戻ろう。ザクロの実だけでも手に入れたい」
尋常とは思えないほどうろたえるアヴリルの様子に、ままならない身体を引きずりながらユリエルが部屋の奥から現れ、ルシがいないことを確かめたあと、「しゃあないな」と小声でつぶやいた。
「大元帥……剣、召喚してくれへんか」
「死霊を?」
言われるままアヴリルは右手で空を切り、ついさっき手放したばかりの死霊の剣をその手に納めた。
「そのまま構えとってや」
ユリエルは死霊の剣の剣身を右手ですっとなぞり、「まあまあやな」と剣に纏う黒い霧と揺らめく魂の影を右手で吸い込み始めた。
── 我は救う者なり 彷徨える魂に命を与えし者……
吸い込まれて行く霧と魂は弱まることなく、ユリエルに呼ばれさらに勢いを増したかのように剣身を黒く、紅く、燃え上がらせた。
「……これくらいでええやろ」
かざしていた右手をブラブラと振りながら、ユリエルはアヴリルに「おおきに」と召喚剣を解放するよう促した。
身体に、心臓に穴を開けられ痛みで身動きひとつ取れずにいたユリエルは、「ほな、行こか」と何事もなかったような顔で空を切り、手にした断罪の剣で地面にぐるりと円を描いた。
「…司法長官、身体は大丈夫なんですか」
「ちょっと待てユリエル、身体に穴が開いてまともに喋れもしなかったのに!?」
ユリエルは描いた円に何やら模様や文字らしきものを書き足しながら、戸惑いを隠せないアヴリルとル・ルシュに「ご覧のとおりや」と落ち着いた声で言った。
「僕は一度エデンで死んで、冥界で産まれ直したハイブリッドなんですわ」
うっかり二対三翼で産まれたばっかりに、絶対に死なせたあかんゆうて全能の神さんが冥府の兄神さんに預けた死に損ないの天使が僕や。天空の光より冥界の闇が肌に合うたみたいで……まあ、天使の見た目を持った死神や、思てもうたらわかりやすいんとちゃうか。
「……確かに冥界とは敵対してるわけじゃないけど…」
「冥界にアリキーノが現れた時は、協力関係にありましたからね」
「とはいえ、天空と冥界は対極にある世界なんだ。魂の理も棲む者の在り方も、まったく違うはずだろ!?」
「そやから、産まれる場所間違うただけで……僕は元々、闇の世界の住人やねん」
これでいろいろ、答え合わせできましたやろ? 火水風土雷氷の属性魔法は攻撃用の黒魔法、時空魔法は属性のない暗黒魔法。回復と封印は神聖魔法に分類される白魔法やさかい、触媒さえあればエデンの術士でも扱えるやろけど、なんの触媒もなしに無詠唱で黒魔法が撃てるのは僕しかいてへん。
ゆうて僕かて白魔法は水晶を触媒に、黒魔法は体内に取り込んだ死人の魂を触媒にして使てるさかい、触媒が要らんわけやないけど、普通の天使は死人の魂を取り込んだりできひん。エデンの天使とハデスの獄卒は扱うてる魂の種類が別物やさかいな。
水晶を触媒として自分を回復するには質量が足りひんさかい、手っ取り早く死人の魂で身体を構築し直したゆう状態がいまの僕ですわ。そやからいまの僕には白魔法は扱われへん。エデンに戻ればそれも浄化されるんやけど。
「まあ、僕の身の上話はええとして……魔紋、開いてもええですやろか」
「魔紋…て、地上から直接フィンドに飛ぶつもりなのか?」
「開くのは入口やさかい、フィンドから魔族やら妖異やらが逆流することはあれへん」
「教授、いまは何よりミシャさんとルシの安全確保が最優先です」
誰よりフィンドの内情を知るル・ルシュは当然渋い顔をしたが、アヴリルの言い分にも一理ある。ミシャの力では魔族からルシを守れない ── フィンドで稀覯原種がばら撒かれれば、それこそエデンはもとより地上も大惨事になりかねない。
「翼をしまえ。できるだけ気配を消して…」
そこまで言って、ル・ルシュは気付いた。ルフェルは情報部の総指揮官、アヴリルは防衛総局の最高司令官、ユリエルはいまの話を聴く限り魔族にも溶け込めそうだ。わざわざザクロの実でオーラを消す必要などないエリート揃い、か。
「着地点は選べるのかい?」
「女王の私室に直接穴開けよ思て」
「……いや、根城の中庭に開けてくれ。多分、お披露目の真っ最中だ」
「構へんけど、衝突は避けられんようなるで」
「下手に動き回って、雑魚を釣り上げる時間が惜しい」
「ほな、中庭に」
ユリエルは書き終えた魔紋の上に立てとみなに促し、その真ん中に断罪の剣を突き立てた。地面が抜けたようにスッと四名の姿が吸い込まれ、消える。
───
「ルシ、大丈夫よ。わたし以前ここに来たことがあるの」
「ごめんなさい……ミシャまでまき込んでしまって…」
「あら、巻き込んだって言うならわたしのほうが謝らなくちゃいけないわ」
「どうして?」
「わたし、以前ここであのひとの顔に傷付けちゃったから怒ってるのよ、まだ」
ミュルシーナの城の中庭は、まるでいまからガーデンパーティーでも始まるかのような盛況ぶりで、多くの魔物や妖異たちが奇声をあげながら、あるいは高揚を抑え切れず取っ組み合って “その時” を待っていた。しかし、稀覯原種を見たことのない魔界の者たちは、それが「羽根である」ということ以外知らない。
当然狙われるのは、翼を隠しているルシではなく翼を持っているミシャのほうだった。
「わたくしの城へようこそ、アリキーノ」
ミュルシーナが声を掛けると、ルシの前に立ちはだかったミシャがにっこりと微笑んだ。
「あの時の傷の具合はいかが?」
「……小娘、まずおまえから血祭りにあげてやろう」
「おばさん、見た目で判断しちゃ駄目よ? わたしのほうがあなたよりずっと年上なのに」
おばさん。その四文字にブチ切れたミュルシーナは勢いよく茨の鞭でミシャを打った。危ない、と思って顔をかばおうと振り上げた右手には、奇跡的に正義の剣が握られ鞭を巻き取っていた。偶然の産物でしかないミシャの防御に、ミュルシーナの怒りは沸点を超える。
アリキーノがどちらなのか、ミュルシーナは知っていたが、とにかくミシャだけは生かしておけない……ミュルシーナはミシャを指差し、「好きなだけ羽根をむしり取ってお行き」と周りで騒めく妖魔たちをけしかけた。
── ルシには指一本触れさせないんだから!
そう身構えたミシャの前に、ルフェルとアヴリル、それからル・ルシュとユリエルが降って来た。
正義の剣に巻き付く茨の鞭を目にしたアヴリルは、即座に地面を蹴ってミュルシーナの背後へと飛んだ。後ろから腕を回し、ミュルシーナの首を思い切り締め上げるアヴリルに、いま冷静さを求めても無駄だった。
「アヴリルー! お手柔らかにねー!」
「できかねます」
ミシャの言葉さえ拒絶するほどに、アヴリルはいま鷹揚でも冷静でもましてや平常心でもなかった。
ミュルシーナはアヴリルに任せたとして、その他大勢の魔族が集う中庭で物事が穏便に済むはずもなく、ルフェルもル・ルシュもユリエルもそれぞれ近くにいる妖魔をちぎっては投げ、とにかく気絶させて行った。殺さないのは魔界との軋轢が露骨になると、エデンとの対立関係を深めてしまうためだ。
わざわざ魔界に乗り込んで魔族を殺める、となると、さすがにベルゼビュートも黙ってはいまい。
ルシの前に立ちはだかるミシャを守りながら闘うルフェルたちだが、苦戦を強いられているのはその魔族の絶対数のせいだった。ゴブリンやドワーフ、トロルやサイクロプス程度であればさほど問題でもなかったが、魔法を使うエルフや大型のキマイラなどが相手ともなると、ウォームアップ気分ではいられない。
そこに古代エルフ族やヴァンパイア族などが混ざれば、猛者とも呼べるルフェルたちでも真剣にならざるを得ない。
そして、不幸にも羽根をちぎられたミシャの小さな悲鳴が、ルシの内側を刺激した。