短文

短い記号

センサー

なんにもわかんないくせに泣いてると 何故か横にいる全部知ってるよと言わんばかりに手の甲を優しくなめる普段は呼んでも返事もしないしなでると迷惑そうな顔で頭をもたげ...
短い記号

もっと ちゃんと

死ぬまでに何度 さよならをするんだろう動かない時計破れたかばん落とした電話ゆがんだ眼鏡欠けたカップ伸びたセーター開かないピルケース座れない椅子倒れる本棚書けない...
短い記号

進化論

きみを思い出すと 呼吸ができなくなる純真な瞳も 卑猥な口唇も血液が沸騰して 逆流する感覚を手懐けられなくて いつだって苦しいんだ幸せな痛みに 裸軆を浸しながら覚...
短い記号

fetishism

暗闇に浮かび上がる輪郭 縁取る月灯り確かめるのは愛ではなく 欲望の深さだろうこの夜の事が 例え罪と呼ばれようとも後悔などしない自分を 確信させたあなたの肌何気な...
短い記号

夢を見る

そっと指輪を外したらそこだけ陽に焼けてなくて指にまとわりつく白い痕消したくて何度もこすった目が覚めるたびに どっちが夢だったのか思い出せなくて 泣きたくなるあな...
短い記号

日常

目を覚ますと 僕の視線がアラームみたいに きみを起こすもう少し寝ててもいいんだよって言うと一緒にいる時間が減るからって目をこする同じ部屋にいるんだから変わらない...
短い記号

欲しいのは

つらいことも いつか笑える日が来るとかどんな経験も 無駄なことなんかじゃないとか振り返りたくない思い出だって 確かにある忘れたくないことだって きっと本物だ自分...
短い記号

メトロノーム

初めて逢ったのは冬だったなんでもない顔で手繰り寄せたきみの手があまりにも冷たくて二度見してしまった氷のような 小さな手で僕の手を握り返し「あったかいね」ときみは...
短い記号

逢いたい

どれだけ手を伸ばしても つかみ損ねてしまう全身を絶望が覆い 息が出来なくなるあの日から幾度となく同じ夢を見るよ最後の後ろ姿 風になびいた髪胸の奥を握り潰される感...
短い記号

胸の奥

恋に落ちるのは簡単だった。気が付いたら胸の奥にキミが棲み着いていた。居心地良くしたら出て行かなくなるかな。安心させてあげられたらここにいてくれるかな。毎日毎日、...