初戀

物 語

初戀 第十三話

第十三話 あの声で蜥蜴を食らう不如帰休み時間になると、教室の外は女子校かと見紛うばかりの賑やかさで盛り上がる。毎日毎日飽きもせずよく続くもんだな、といまでは感心...
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初戀 第十二話

第十二話 厭と頭を縦に振るしなんなら腰だって藍田あいだと別れ僕は走った。もしかしたら、もう帰ったあとかもしれない。とりあえず玄関で靴を確かめれば、いるかいないか...
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初戀 第十一話

第十一話 文はやりたし書き手が居らぬ「セックスしたい」桁違いのイケメンが投げる剛速球のストレートを打ち返せる人間がこの世にいるだろうか。僕だって学校帰りに久御山...
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初戀 第十話

第十話 禍福は糾える縄で縛れ九月になってもまだ日中の気温は真夏のそれと変わりなく、半袖でも汗ばむ日々が続いていた。教室の中にいれば冷房のおかげでうだることはなか...
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初戀 第九話

第九話 時は得難くして失い易し── 非常に気まずい。都築つづきさんは久御山くみやまのことが好きで、久御山とふたりきりがよかったんだろうけど……完全に僕おじゃま虫...
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初戀 第八話

第八話 愛は屋上の烏に及ぶ「薫子かおるこ、ほんまに行くん?」「うん、東京なら迷わないし」「まあ…薫子なら押し掛けても怒られへんか」「なんでわざわざ東京行ったんや...
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初戀 第七話

第七話 暗闇の猫は皆灰色「藤城くん」……中学にあがり、学校で女子に話し掛けられるのは初めてだった。あれ、僕何か忘れてたかな……宿題、日直、掃除当番、委員会……ど...
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初戀 第六話

第六話 秋の鹿は笛に寄る「……最初は…わかんなくて」「何が」「何されてるか……わかんなくて」「…………」「まだ小学生で、そういうこと知らなくて」「藤城」「誰にも...
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初戀 第五話

第五話 貞男勃てたし間男したし根元から先端までゆっくり舌を這わせると、藤城の腰がビクッと跳ねる。全身性感帯なんじゃねえの……とりあえず入るところまで、と思い咥え...
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初戀 第四話

第四話 籠鳥雲を恋う「賢颯けんそう、何もそこまでしやんでも……」「ぼくがそうしたいだけやから……気ぃ遣わんとって」「ほんまに大丈夫なん? 最初だけでも一緒に」「...