物 語

あのときの僕の話をしよう 5

その21「じゃあ僕のためだったら結婚してくれる?」なるべく不自然にならないように、それとなく彼女に伺う形で僕は産まれて初めてのプロポーズを終えた。「それが本音な...
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あのときの僕の話をしよう 4

その16「こんなに好きなんだけどな」抱き締めても溶け合わない、混ざり合ったりはしないふたつのからだ。そうか、こんなとき彼女が言うように「溶けてひとつになれば」彼...
物 語

あのときの僕の話をしよう 3

その11容赦なく口の中にねじ込まれる彼女の薬指に、僕はそっと歯を立てた。「もっと強く」力いっぱい噛んだらちぎれそうなほど細い指。どうして彼女はこんなことを求める...
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あのときの僕の話をしよう 2

その6何しろ彼女は特別だった。僕にそう思わせていたのは彼女の容姿や学歴や趣味が抜きん出て素晴らしいからではなく、すべては彼女との情交に集約されていた。「からだに...
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あのときの僕の話をしよう 1

その1僕たちは愛し合っていた。多分。ふたりだけでいるときはいつも抱き合っていて、飽きることなくキスに酔っていた。彼女のすんなりと伸びた腕が僕の首に絡み付く。それ...
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Daemon’s Soul

Daemon's Soul待っていたわ、シルフィ……わたしの愛しい子……早くここにいらっしゃい……シルフィは光を知らない。シルフィは音も知らない。そろそろ冬の足...
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地上の愛 XVI

ACT.16 果ての森少しやつれたように見えるものの、ルフェルはしっかりとした足取りで水晶の間のシルフィに歩み寄った。フィオナとディオナとモーリアに深々と頭を下...
物 語

地上の愛 XV

ACT.15 シルフィシルフィの亡骸をエデンに運んだミシャは、ひとり泣きふせっていた。ルフェルは堕天して死んだ。もう二度とあの優しい声を聴くことも、大きな手に触...
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地上の愛 XIV

ACT.14 死ルフェルは玄関の扉にからだを預け、青白く地上を照らす月灯りの中で打ちひしがれていた。僕はいまこんな所で何をしているんだ。本当にノエルは無事でいら...
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地上の愛 XIII

ACT.13 ネフィリム「同族殺しは大罪だ」死を司る女神は静かな怒りをその胸に滾たぎらせていた。生き物の死期を見極め、安らかな死が訪れるよう最期の力を与える女神...