第八十九話　濡れぬ先こそ露をも厭え「……いま…なんつった？」「受験…やめる…ん……っ…あ…」「待て、ちゃんと話を」「話より…先に…すること……ある…ん…」……そ...

第八十八話　席暖まるに暇あらず新幹線の運転士をしばき上げることはなかったが、京都駅から東京駅、そこから家に向かうまでの間、湊みなとにどう連絡すればいいか悩み続け...

四方山話 其の肆　犬も歩けば千載一遇「新入生宣誓、代表　一年三組　藤城 湊ふじしろ みなと」「はい」「あの子が入試トップだった子？」「宣誓って毎年そうらしいよ」...

第八十七話　泣きっ面に蜂蜜まったく無関係の、しかも今日はじめて逢ったばかりの燠嗣おきつぐに、たとえ脅しであったとしても鋏はさみを向けるとか頭おかしいんじゃねえの...

第八十六話　黒白で争う── Everything, or everyone and everything…anything and everything.すべて...

第八十五話　怨み骨髄から入る「……Where can I buy a ticket?チケットどこで買うの？」「要らねえわ……」無駄にデカい門をくぐり抜け、玄関に...

第八十四話　見ぬは極楽知らぬは己「し、失礼します……」藍田あいだはそうっと真壁まかべの反対側からダウンケットをめくり、落ちるかどうかギリギリのところに身体からだ...

第八十三話　一輪咲いても花は花「おう、どうした？」真壁まかべさんに連行されてから三十分くらいか。あんだけ余裕なさそうだったもんな、円山か道玄坂あたりにいるんだろ...

第八十二話　大行は細謹を顧みず「……なんで、俺？」コーヒーでも淹いれてる間に湊みなとが説明してくれるんじゃないか、と期待していた五分ほど前の自分を猛省した。湊は...

第八十一話　その男、真壁 倖拓「うおっ、こんなとこで寝てんじゃねえよ！」バイト先の事務所でシフトの確認をしたあと、まだ少し時間あるなあ、と床に転がってると、出勤...