初戀

物 語

初戀 第六十六話

第六十六話 人と屏風は直ぐには勃たず「…どんな顔してればいいんだろう」「普通でいいよ」「普通って言われても……」普通でいい、と言いながら硬い表情を見せる久御山く...
物 語

初戀 第六十五話

第六十五話 雨夜の月ソファで胸の辺りを押さえながら、久御山くみやまは顔をしかめて笑う。笑うと折れた肋骨に響くので、また顔をしかめる。素人が30m下の川に飛び込ん...
物 語

初戀 四方山話 其の参

四方山話 其の参 とある世界線の初日の出クリスマスも終わりひと息吐いたところで、年始の準備に余念のない姉から花を買って来いと申し付けられ、生け花用の花を適当に見...
物 語

初戀 第六十四話

第六十四話 焼け野の雉子、夜の鶴 其の弐ほんまはひとつのはずやった。それがふたつに分かれたんは、神さまの気まぐれやったんかもしれへんし、理由があったんかもしれへ...
物 語

初戀 第六十三話

第六十三話 焼け野の雉子、夜の鶴 其の壱── 焼野やけのの雉子きぎす、夜の鶴雉(雉子は雉の古名)は巣のある野を焼かれると、己の身の危険も顧みず我が子を助けるため...
物 語

初戀 四方山話 其の弐

四方山話 其の弐 とある世界線のジングルベル今年も毎年恒例の「クリスマス久御山くみやま争奪戦」が繰り広げられていた。どうでもいいけど、久御山が受験生だってことみ...
物 語

初戀 第六十二話

第六十二話 薄氷を履むが如し「チビッコ、おまえ大丈夫か!」「澄晴きよはる、そのまま抱き着いたあかん! シャツ脱いで!」「湊、まだ吐く? もう大事ない?」「あ…は...
物 語

初戀 第六十一話

第六十一話 猫に鰹節骨髄採取をするための検査結果は良好だった。HLAの型はもちろん、血液検査、感染症検査、胸部レントゲン、心電図、血圧、呼吸機能など、すべての検...
物 語

初戀 第六十話

第六十話 狐、その尾を濡らす「先天性色素欠乏症?」「はい、先天的にメラニンが不足している遺伝子疾患ですが、生活にはほぼ支障ないそうです」「……はあ、冬慈とうじの...