花束とシュークリーム

花束とシュークリーム
短い記号

あら お久しぶりです 偶然ですね
お元気でしたか? 少し痩せられたんじゃ?
ここへはよく来られるんですか? そうですか
何事もなく 安心しました
私どもは はい つつがなく
娘は ええ 5歳に ええ
お宅の娘さんも 大きくなられたでしょう
ピアノを まあ きっとお上手なんでしょうね
ああ いけない ちょっと急いでいるもので
またゆっくり お逢いできたら では また

足早にその場をあとにして 空を仰いだ
途中の花屋で ガーベラの花束を買って
あの子の好きなシュークリームも忘れずに

あれから1年と半分が過ぎて
時間は過ぎるのに 時計は止まったまま
どうして あの日に限って 違う道を歩いたの
いつもの道なら いつもの道なら

永遠に眠るあなたの 今日は誕生日
花束とシュークリーム 好きだったでしょう
逢いたくてたまらない 涙がまだ止まらない
5歳の誕生日は 今日だけなのに
笑顔でいられない わたしを許してね