” ソレ ” は突然 自分に降りかかる不幸
なんの予告もなく 前触れもなく
あっという間という言葉が 正にその通りなのだと
その時にならなければ 知ることもなかった
呼んでも誰も来ない 助けはきっと来ない
密閉された空間に 風の通る隙間もなく
声は役目を失い 涙は憐れを引き立てる
どうして どうして どうして
何を間違えたのか 何が悪かったのか
誰にも訊けなかった 訊けるわけなかった
ならばせめて 嘘でもいい
ひとこと 愛してると わたしを騙して
そう それは奪われたわけじゃなし
わたしの意思で与えたものであるなら
誰に咎められるというのでしょう
ましてや眉をひそめられる理由など
わたしが許したの わたしの自由でしょう?
穢されたわけじゃない 汚れてなんかない
悦んで鳴いて 鳴いて 鳴いて 鳴いて
酷く滑稽なものよ 欲の営みというのは
愛してる 愛してる 密室の空気を揺らす声
わたしが望んだの わたしが選んだの
血塗れの脚はどれだけ洗おうとも赤く
まるで烙印でも押されたかのように 消えることはなく
悪い夢だったのかもと 寝覚めに確かめてみるも
わたしが望んだのだと 強く念押すばかり