舐め合う傷

舐め合う傷
短い記号

いつだって愛されることばかり望んで
疑って 泣き喚いて 罵って
こんなに傷付いたの、と 見えない傷口から
どれだけの血が流れているのかを 執拗に
あなたを責め立てることで 安心を得て
謝罪の言葉を引き出して 愛を確かめた

そう それでいい

だってわたしたちは 同罪でしょう?
きみがいなくなったら死ぬとあなたは言い
自分を人質に わたしをつなぎ止めた

身体中にある「孤独」という穴を
埋めるために 互いが必要だと言い聞かせ
涙や 身体や お金を武器に 寄り添って
与え合う振りをして 奪い合っているの

気付いているのは自分だけだとほくそ笑んで
醜く歪んだ 愛という名の 欲を育てる

そう それでいい

ひとりよりは 舐め合う傷があるほうを
選んだのは わたしたち